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麻薬まん延の“地獄”アメリカ“ゾンビタウン”を現地取材…路上に中毒者ゴロゴロ 強力麻薬フェンタニル密輸が大統領選の争点に(2024/10/10)

大統領選挙まで1カ月を切る中、大きな争点の1つが薬物と犯罪です。
アメリカでは、薬物の過剰摂取による死者は5年間で50万人を超え、18歳から48歳の死因ではトップとなっています。

今回、FNNは地獄と呼ばれる麻薬汚染の現場を独自取材しました。

アメリカ東部ペンシルベニア州フィラデルフィア。

独立宣言が採択された場所としても知られ、映画「ロッキー」の舞台にもなりました。

街の中心部から車で10分ほどの場所にあるケンジントン地区では、ものすごい悪臭が漂っていました。

街の中では、路上に倒れ込む人、前かがみになる人など、薬物中毒と見られる人たちが次々に見つかりました。

路上にいた男性もよく見ると手には注射器のようなものを持っています。
さらに路上には、薬物の取引に使用したとみられる小さなビニールの袋も散乱しています。

この原因とされるのが、合成麻薬フェンタニルです。

フェンタニルは、がん患者の苦痛緩和などに用いる強力な鎮痛剤で、効果はヘロインの50倍ともいわれています。
致死量は、たったの2mgです。

このフェンタニルが、アメリカ国内で違法に流通し、2023年は7万人以上が過剰摂取で死亡しています。

娘がフェンタニル中毒と語る住民の女性は、不安の声を漏らします。

薬物中毒の娘の母親:
犯罪者・麻薬常習者が多すぎる。ひどい状況です。

また住民のガードナーさんは、麻薬の売人が無料でフェンタニルを配り、他の薬物に混ぜるなどして中毒者にすると語ります。

米・ケンジントン地区在住 ガードナーさん:
多くの人が中毒者をゾンビと呼ぶ。ゾンビに近い状態だからだ。

夜に再び街の中を取材してみると、ポストに倒れかかる女性やふらふらと道路を横断して道をふさぐ人の姿がありました。

警察官も24時間態勢で見回りをしていますが、何もできず立ち去っていきます。

さらに女性は謎の小さな袋を取り出すと、鼻に近づけていました。
街は完全な無法地帯状態です。

違法なフェンタニルは海外から密輸されていて、11月の大統領選挙の大きな争点にもなっています。

ハリス副大統領:
大統領として、米国に流入するフェンタニルの流れを断つことを最優先課題として取り組む。

一方、トランプ前大統領は「バイデン政権が違法薬物の流入を急増させた」と批判。

トランプ前大統領:
麻薬の売人に死刑を科さない限り、麻薬問題は決して解決しない。

この地域で薬物中毒者の回復を支援する活動を行っているアリスさん(71)。
30年前には自身も薬物中毒者でした。

薬物中毒者への支援を行うアリスさん :
第一に政府は仕事をしていない。麻薬は長い間存在してきた。でも今はもっと悪くなっている。

アメリカ社会にまん延する麻薬問題。
選挙まで1カ月を切る中で大統領候補がこの問題にどう向き合うのかも問われることになります。